歯肉から出血するのはなんで?出血が起こるのは身体の防御反応?
今でも歯肉からの出血に「悪い血です」って言う歯科衛生士もいますが…
歯肉からの出血は身体の防御反応、歯槽骨の吸収もその流れで起こるものです。
今回はできるだけ簡単に分かりやすく
- 1.歯周病細菌の毒素
- 2.生理的防御
- 3.生体防御細胞
- 4.生体防御細胞はチーム
- 5.生理活性物質サイトカインの特徴
- 6.炎症性サイトカイン
- 7.歯周病の症状と照らし合わせると?
7つの項目に分けてご説明していきます。
生体も安易に細菌の侵入を許している訳ではないので、その反応なのです。
1.歯周病細菌の毒素
細菌の病原性は毒素によって決まります。
毒素には内毒素と外毒素があります。
外毒素はたんぱく質やコラーゲン分解酵素を出して、生体を攻撃します。
内毒素(LPS)は細菌の外膜です。
内毒素は微量であれば、細菌侵入を知ることができるので、生体の免疫細胞を活性化することができるので、良い働きもします。
が、多量だと炎症を引き起こします。
これを踏まえて生理的防御と生体防御を見てみましょう。
2.生理的防御
主に 唾液、歯肉溝滲出液、歯肉上皮 が生理的防御を行っています。
唾液
抗菌物質を含んでいて、細菌を洗い流す。
歯肉溝滲出液
酵素を含んでいて、細菌を洗い流す。
歯肉溝の外へ食物残渣,細菌等を洗い流す。
抗細菌作用(白血球,γ一グロブリン,lysozyme)
上皮付着の歯への結合促進。
歯肉上皮
細菌から攻撃をされても、再生速度がとても速いので、細菌の侵入を食い止める。
この3つが作用することで細菌の侵入を防御しています。
が、ここを突破されると働くのが「生体防御細胞」です。
3.生体防御細胞
歯肉の中には 歯肉線維芽細胞とマクロファージ。
細菌侵入に対して一番に働きます。
その次に働くのが、血管の中の 好中球、マクロファージ、Tリンパ球、Bリンパ球です。
4.生体防御細胞はチーム
生体防御反応はチームで仕事をしています。
1.線維芽細胞がバリアとして働く が、このバリアを超えたら
2.マクロファージが細菌を捕まえて、「細菌が侵入してきた」という情報をチームにインカムを使って伝達します。
3.それに好中球が一番に反応して、細菌に向かっていき、捕まえて飲み込んで、細菌を破壊します。
そして、仲間の好中球にもインカムを使って召集をかけます。
4.少し遅れて他のマクロファージとリンパ球が働きだします。
5.マクロファージも好中球と同じように細菌を飲み込んで破壊します。
その上、マクロファージは細菌の内毒素から細菌の弱点を探し出します。
6.この弱点の情報をTリンパ球にインカムを使って伝えます。
7.Tリンパ球はこの情報をBリンパ球にもインカムを使って伝えます。
8.Bリンパ球はこの情報を元に抗体を作るのです。
おぉ、すごい。
頑張って戦ってくれている‼
が、これが実は歯周組織を破壊して、骨吸収を引き起こすことになるのです。
5.生理活性物質サイトカインの特徴
生体防御細胞のチームがそれぞれに伝達する時に使っていた「インカム」が「生理活性物質」です。
「生体活性物質」は細胞間での情報を伝達する際に必要な物質です。
生理活性物質にはサイトカインとホルモンがあります。
サイトカインは色々な細胞から作られ、作った細胞の近くの細胞に情報を伝達する役割をしています。
ホルモンは臓器により作られて、遠くにある標的の細胞に作用します。
サイトカインの特徴
- 役割 細胞間の情報伝達
- 産生細 生体防御細胞など
- 標的細胞
歯周組織局所で作られる炎症を起こす方向に作用する「炎症性サイトカイン」をマクロファージとTリンパ球とBリンパ球が作ります。
6.炎症性サイトカイン
適量のサイトカインであれば問題がないのですが、細菌の侵入により生体防御細胞が活性化されれば、されるほど、炎症性サイトカインが過剰に作られます。
過剰に作られた炎症性サイトカインは、歯肉線維芽細胞や破骨細胞を活性化します。
7.歯周病の症状と照らし合わせると?
歯周ポケット内で細菌が増殖→多量の代謝物→口臭
多量の細菌の外毒素とコラーゲナーゼによって歯肉上皮が傷つく→歯周組織が弱る→歯肉から出血
好中球とマクロファージを供給しないといけない→血管が拡張→組織に血液が多量に送り込まれる→歯肉の発赤、腫脹
活性化されすぎたり、仕事が終わった好中球→自爆→膿
破骨細胞活性化→歯槽骨吸収→歯の動揺
歯の動揺→細菌感染+機械的破壊→歯周組織の急速な破壊が進む
歯周病の症状の裏では身体がたくさん頑張っているんです。
まとめ
今回は「歯肉から出血するのはなんで?出血が起こるのは身体の防御反応?」を
- 1.歯周病細菌の毒素
- 2.生理的防御
- 3.生体防御細胞
- 4.生体防御細胞はチーム
- 5.生理活性物質サイトカインの特徴
- 6.炎症性サイトカイン
- 7.歯周病の症状と照らし合わせると?
の7つの点でお伝えしました。
炎症性サイトカインが全身に影響するのはなんとなく分かってきたのでは?
次回は全身にどのように歯周病が影響してくるのか?をお伝えしたいと思います。