歯の価値3,000万円?歯がないと医療費は2,000万円多くかかる?は本当?
以前アメブロの記事で
ご自身の歯の価値は一体いくらか?2,000万円以上? 歯の価値を考えるポイント3つ
という記事を書いた時にご紹介したtweetの内容
一体どこからその値段になったのか?
疑問だったので、tweetした方に質問してみました。
ご丁寧に回答して頂きましたので、その根拠となっている情報とポイント5つをご紹介したいと思います。
- 1.私の意見
- 2.返信の内容
- 3.医療費のデータ
- 4.歯の訴訟
- 5.計算はどうなるの?
1.私の意見
もしも歯を失って今と同じようにごはんを食べたいと思ったら、インプラントが一番に候補としてあがってくると思います。
これは賛否両論あると思いますが…
でも、現段階でご自身の歯と同じように食べられるのは「インプラント」だけです。
インプラントを入れるとなると…
健康保険の適用外の治療です。
一本インプラントを入れるのに安くても約40万円程かかります。
(この計算方法はamebloの記事を参照してください)
28本×40万円= 約1,120万円
これをそのまま価値とするには簡単すぎます。
その他の健康や他の歯との兼ね合いも考えると、もっと高いとは思います。
これも一つの目安です。
保険治療の場合は「健康を維持する」という目的の治療ではないので、今回は外して考えます。
2.返信の内容
香川県 歯の健康と医療に関する実態調査から
香川県の平成25年の実態調査からのデータのようです。
40歳以上の平均ということで、100歳までいきると、60年間×19万で1,000万以上の価値の損失です。さらに介護費用、家族の負担、なにより寿命損失から勘案しました。
歯そのものの価値の3,000万は訴訟で歯一本あたり150万の支払いと言う判決事例をもとに判断しております。
myデンティスト@癒える力さんのTwitterのDM
この内容の返信をご丁寧に頂きました。
これを踏まえ、
「医療費」に関する元のデータ
訴訟の内容
を今回はご紹介していきたいと思います。
3.医療費のデータ
早速、香川県の歯科医師会のHPをみてみました。
香川県歯科医師会8020
香川県歯科医師会にあったデータは平成22年の実態調査のものになります。
他にもこの実態調査を基にした「歯科と健康寿命」などを掲げているところはたくさんありました。
日本歯科医師連盟PDFより
香川県の糖尿病死亡率:全国第5位 (厚生労働省「2010年人口動態統計」による)
香川県の糖尿病受療率:全国第1位 (厚生労働省「患者調査」による)
歯周病の予防、治療と糖尿病との関係がやっと注目されはじめました。
医療費が年々増えているのは国全体の問題でもあります。
社会保障費の内約を知っていますか?
現在は年金が約60兆円、医療費が約40兆円です。
財務省 社会保障関係費について(平成30年度予算案)
この内、医療費の2/3近くはシニア層に使われています。
厚生労働省 平成29年度 国民医療費の概況 結果の概要 年齢階級別国民医療費
医療費についての記事は↓
県をあげて「歯科受診」の重要性を広めようと香川県は頑張っているのです。
本当、すごいと思います。
詳しい情報はこちらのPDFからご覧頂きたいと思います。
こちらもご参考に↓
一本の歯を失うということは付随して色々な事を招きます。
40歳から100歳まで生きると仮定
医療費の差額が19万円
60年間×医療費19万円=1,140万円
このデータからいくと健康につながる医療費として、歯に付随する価値はおおよそ1,140万円
tweet主の先生はこれに介護費用なども付随するということでした。
だから2,000万円のようです。
すると…人によってはもっと高額な医療費になるのではないでしょうか?
3.歯の訴訟で一本150万円
訴訟の内容までは記載して頂いていなかったので…
これかな?というのをみつけてみました。
東京地方裁判所 平成13年(ワ)第25875号 損害賠償請求事件
堀法律事務所 医療過誤裁判事例
平成14年5月27日判決
【説明義務,問診義務,治療方法・時期,損害論】
この裁判事例での判決を元に考えると
1本 150万円 × 28本 = 4,200万円 になります。
ただ、この判例だけで判断はできないと思います。
抜歯したのは7番です。
そして、何の説明もなく抜歯をしたという点についてが争点だったのかな?と思います。(診査、診断のずさんさ、インフォームドコンセントがなかった)
そこに対しての慰謝料なのではないか?と思うのです。
そもそも抜歯する必要は本当になかったのか?はわかりません。
レントゲンを以前撮っているのであれば、再度撮影する必要はありますが…
本当の経緯が分からないです。
歯が動揺しているかは、抜く際に器具でつかめばわかります。
そして、分割して抜歯しないといけなったのは…骨と癒着していたのかも?
真実はこの訴えられた歯科医師にしか分かりません。
歯科の訴訟で調べると色々と判例が出てきます。
訴訟で支払われている金額が少ない判例もあるので…
この150万円というのも、こういう事例があった程度にとどめておくほうが良いかもしれません。
個人的には歯の部位によってもその価値は変わってくると思います。
噛むのに重要な6番目の歯は、この訴訟で取り上げられている7番よりも価値があると思っています。
見た目で重要な前歯も同じように価値はあります。
これは私の個人的な意見です。
計算はどうなるの?
40~100歳までの医療費
1,140万円 + (介護費用) = 2,000万円
(歯が20本以上ある人と比べて)という計算と
歯一本の訴訟での慰謝料の費用が一本150万円 × 28本 = 4,200万円
これを医療費データの残存歯20本という設定にすると 3,000万円
ということでした。
まとめ
今回は「歯の価値3,000万円?歯がないと医療費は2,000万円多くかかる?は本当?」について
- 1.私の意見
- 2.返信の内容
- 3.医療費のデータ
- 4.歯の訴訟
- 5.計算はどうなるの?
の5つにポイントを絞ってお伝えしました。
ご自身の歯の価値が少しは分かりましたか?
歯科治療を受ける際には気にしてみてください。
ちなみに、私はフロス推しではありません。
これはアメリカの歯周病学会で発表されて、フロスの効果はなく、傷がつくなどのほうが心配だという発表があったからです。
他にもいくつもエビデンスがあります。
臨床でも体感しています。
それはまた今度の機会に☆